親の介護と薬剤師の仕事を両立する|使える制度と働き方の変え方
本記事はアフィリエイト広告を含みます。紹介するサービスの選定は、医師としての知見と独自の評価基準に基づいており、広告掲載の有無が評価に影響することはありません。詳しくは広告掲載ポリシーをご確認ください。
先に結論だけ知りたい方は 現役医師が選ぶ転職サービス比較ランキング をご覧ください。
本記事はアフィリエイト広告を含みます。
掲載サービスの一部に広告リンクを使用しています。掲載順位・評価は広告の有無に関わらず、医師としての独自基準と公開情報・口コミに基づいて決定しています。
親の介護と薬剤師の仕事を両立する
親の介護は、ある日突然始まります。準備する時間はありません。
そして薬剤師には、もうひとつ特有の事情があります。「薬のことは分かるでしょう」と、家族から当然のように期待されることです。
さらに管理薬剤師であれば、自分が抜けると店舗が回らないという責任も重なります。
この記事では、使える制度、働き方の選択肢、そして薬剤師が陥りやすい罠を整理します。
監修: 現役医師(放射線治療科・大学病院勤務)
医療・介護の連携に関わる立場から、制度と現場の実際を整理しています。
まず知っておきたい制度
「両立できないから辞める」と判断する前に、使える制度を確認してください。知らないまま辞める人が非常に多いのが実情です。
介護休業
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 対象家族1人につき、通算93日 |
| 分割 | 3回まで分割して取得できる |
| 対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
| 給付 | 介護休業給付金(雇用保険から支給される) |
重要なのは、93日は「自分で介護する期間」ではないということです。
93日で介護が終わることはありません。この期間は、介護の体制を組み立てるための時間として設計されています。要介護認定を受け、ケアマネジャーを見つけ、サービスを手配し、家族で役割を分ける。そのための時間です。
「3回に分割できる」という点も実用的です。入院・退院・施設入所といった状態が変わるタイミングごとに使うという考え方ができます。
介護休暇
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日数 | 対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日 |
| 単位 | 1日単位・時間単位で取得可能 |
| 用途 | 通院の付き添い、手続き、ケアマネとの面談など |
時間単位で取れるのがポイントです。「午前中だけ役所に行く」といった用事に、有給を使わずに対応できます。
勤務時間の調整に関する措置
事業主には、介護をする労働者のために、短時間勤務・フレックスタイム・時差出勤・介護費用の助成のいずれかの措置を講じる義務があります。
さらに、所定外労働(残業)の免除や深夜業の制限を請求できます。
薬剤師にとっては「所定外労働の免除」が効きます。 閉局後の残務で帰りが遅くなる状況を、制度として断てるからです。
2025年からの変更
育児・介護休業法の改正により、事業主が介護に直面した労働者に対して、制度を個別に周知し、利用の意向を確認することが義務化されています。
つまり、職場から説明があるのが当たり前になりました。説明がなければ、こちらから人事や本部に確認して構いません。
⚠️ 制度の詳細や適用条件は改正されることがあります。必ず勤務先の担当部署と、お住まいの自治体・ハローワークで最新の内容をご確認ください。
薬剤師が陥りやすい3つの罠
罠1:「薬の専門家だから自分がやる」と抱え込む
薬剤師は、薬のことが分かります。だから、
- お薬手帳を全部自分で管理する
- 複数の医療機関の処方を自分で突合する
- 服薬管理の仕組みを自分で作る
- 疑問があれば自分で調べる
——これを全部やってしまいます。そして家族も「任せておけば大丈夫」と考えます。
しかし、仕事で薬を扱うのと、実の親の薬を管理するのはまったく別です。
- 24時間、切り替えるタイミングがない
- 感情が入るため、冷静な判断が難しくなる
- 「分かるはず」という自己期待が、他人に頼ることを妨げる
そして皮肉なことに、知識があるほど「かかりつけ薬剤師」や「居宅療養管理指導」といった外部の支援を導入するのが遅れます。「自分でできるから」と。
できることと、やるべきことは違います。 親の薬の管理は、地域の薬剤師に任せていいのです。むしろ第三者の目が入るほうが、見落としは減ります。
罠2:ケアマネジャーの領域まで判断しようとする
医療の知識があるため、ケアプランに意見が言えます。それ自体は良いことです。
しかし、介護保険の制度、地域の事業所の実情、家族支援のノウハウは、ケアマネジャーの専門領域です。医療の知識とは別物だと考えて、任せるところは任せてください。
罠3:職場に言わない
「一人薬剤師だから休めない」「管理薬剤師だから迷惑をかけられない」——こう考えて黙る方が多くいます。
しかし、伝えなければ制度は使えません。そして限界まで黙っていると、ある日突然辞めることになります。職場にとっても、そのほうが困ります。
早めに伝えておくと、
- シフトの配慮が受けられる
- 制度の説明が受けられる
- 人員配置を見直してもらえる可能性がある
- 突発的な休みへの理解が得られる
「介護があるので、今後シフトの相談をさせてください」の一言から始めれば十分です。
管理薬剤師の場合
責任が重いぶん、悩みも深くなります。整理しておきます。
管理薬剤師を続けながら両立できるか
介護の状況によります。ただし、管理薬剤師の職責と、時間的な拘束は別の問題です。所定外労働の免除を請求することは、管理薬剤師であっても可能な場合があります。まず職場に相談してください。
役割を外してもらうという選択
一時的に管理薬剤師を外れ、一般薬剤師として働くという選択肢があります。手当は下がりますが、辞めるよりはるかに損失が小さいです。
「一度外れたら戻れない」と思い込む必要はありません。状況が落ち着いたときに再度相談すればよい話です。
それでも難しい場合
管理薬剤師の責任が重すぎるなら、役割のない職場に移ることも現実的です。この場合、給与は下がりますが、時間と精神的余裕が得られます。
求人を実際に見ながら考えたい場合は、当サイトのランキングで1位に挙げているファルマスタッフが起点にしやすいです。日本調剤グループという薬局運営の母体があり、担当者が職場の内側を把握したうえで紹介してくれます。登録・相談は無料です。
登録する前に評判を確かめたい場合は、良い口コミと気になる口コミを「ファルマスタッフの評判・口コミ」にまとめています。
働き方の選択肢
① 今の職場で調整する
まず検討すべき選択肢です。転職より負担が小さいためです。
- 所定外労働の免除を請求する
- 短時間勤務の措置を利用する
- 管理薬剤師の役割を一時的に外れる
- 店舗異動(自宅や実家に近い店舗へ)
チェーン薬局であれば、異動で通勤時間を短縮できる可能性があります。これは介護との両立で非常に大きい要素です。
② 時間の読める職場へ転職する
| 職場 | 特徴 |
|---|---|
| 調剤薬局(診療所門前) | 閉局時間が読みやすい。土日休みの門前もある |
| 企業(学術・DI・CRO/SMO) | 土日祝休みが基本。ただし未経験からは難度がある |
| 公務員薬剤師 | 勤務時間が安定している |
| 病院(日勤のみ) | 当直なしのポジションがあれば |
在宅対応やオンコールのある薬局は、介護と重なると負担が大きくなります。転職時は「在宅の当番があるか」を必ず確認してください。
企業への転職は製薬企業への薬剤師転職ガイド、公務員は公務員薬剤師(行政・保健所)への転職をご覧ください。
③ パート・非常勤に切り替える
時間のコントロールを最優先する選択肢です。
薬剤師は時給が高いため、短時間でも一定の収入が確保できるのは強みです。ただし社会保険や扶養の基準が2026年に変わっているため、制度を理解したうえで設計してください。詳しくは扶養内で働く薬剤師をご覧ください。
④ 単発・派遣
介護の状況が読めない時期に、働く日を自分で決められるという点で選択肢になります。「今月は無理」という月を作れるのは大きな利点です。
薬剤師の派遣という働き方も参考にしてください。
介護離職は最後の手段に
厚生労働省も繰り返し発信していますが、介護を理由に仕事を辞めることは基本的に推奨されていません。
- 収入が途絶える(介護には費用がかかる)
- 社会とのつながりが切れ、介護者が孤立する
- 介護が終わったあと、同じ条件で復職できるとは限らない
- 年金・社会保険の面でも不利になる
薬剤師は資格職なので復職しやすい職種です。ただし、ブランクが長引くほど戻るハードルは上がります。復職の実際は薬剤師のブランク復職 転職サービス比較で整理しています。
順序は「制度を使う → 働き方を変える → それでも無理なら」です。
実務的にやっておくとよいこと
1. 要介護認定の申請を早めに
サービスを使うには認定が必要です。申請から認定まで時間がかかるため、「まだ大丈夫」と思う段階で動くのが正解です。市区町村の窓口または地域包括支援センターへ。
2. 親の薬を「かかりつけ薬局」にまとめる
これは薬剤師だからこそ、あえておすすめします。自分で管理せず、地域の薬局に一元管理してもらってください。
複数医療機関の処方を突合し、ポリファーマシーを整理するのは、まさに薬剤師の仕事です。それをプロとして第三者に任せるほうが、結果的に確実です。
3. 兄弟姉妹と役割を決める
「薬剤師だから」で全部が集まる構造を、早い段階で崩してください。お金を出す、手続きをする、通うという役割分担を明確にしておくと後が違います。
4. 費用の見通しを立てる
介護保険の自己負担、施設費用、医療費。おおよその金額を把握しておくと、働き方の判断がしやすくなります。
5. 自分の休息を予定に入れる
これが一番忘れられます。介護は長期戦です。倒れたら誰も助けられません。
転職サービスをまだ決めていない方へ
薬剤師転職サービス おすすめ比較ランキング【現役医師が選ぶ2026年版】で、各社の強みと弱み、選び方の基準を医師目線で整理しています。
まとめ
- 介護休業は通算93日・3回まで分割可能。自分で介護する期間ではなく、体制を作る期間
- 介護休暇(年5日/10日)は時間単位で取れる
- 所定外労働の免除を請求できる。閉局後の残務を制度として断てる
- 2025年から事業主による制度の個別周知・意向確認が義務化されている
- 罠その1:「薬の専門家だから」と抱え込む。親の薬こそ地域の薬局に任せる
- 罠その2:ケアマネジャーの領域は任せる
- 罠その3:職場に言わないと制度は使えない
- 管理薬剤師は、一時的に役割を外れるという選択肢がある。辞めるより損失が小さい
- 転職するなら在宅の当番・オンコールの有無を必ず確認
- 順序は「制度を使う → 働き方を変える → それでも無理なら」
介護は、頑張る量ではなく体制の作り方で決まります。
そして薬剤師は、その体制の中でもっとも重要な「薬の一元管理」を、プロとして誰に任せればいいか知っている人たちです。
その知識を、自分の家族のために——そして自分自身のために使ってください。
本記事は2026年9月時点の一般的な情報提供を目的としたものです。制度の要件・給付内容は改正される場合があり、個別の適用可否は状況により異なります。実際の手続きについては、勤務先の担当部署、ハローワーク、お住まいの市区町村・地域包括支援センターにご確認ください。
結局どのサービスを選べばいいか迷ったら
現役医師が独自基準で比較した最新ランキングをチェック